犬のしつけ相談室

ひとりでお留守番できない。(有効なコングの詰め方)
ゆき、6か月メス、ウェストハイランドホワイトテリアの飼主からの相談
お出かけ前の30分は犬を完全に無視しておきましょう。下手に挨拶をしたり、撫でたり、抱いたりすると「またママが出かけてしまう」と犬は悲しくなってしまいます。テレビをつけっぱなしにし、おもちゃを与え、大きなガムやビスケットと格闘している間にそっと抜け出してしまえれば成功。お留守番は特別なことでないと分かってくるはずです。また、コングという中が空洞になったゴム製のおもちゃが犬の留守番には最適です。コングの製品情報はこちら。
多くの人がコングの空洞に単にピーナッツバターなどを詰めただけのものを犬にやって家を出るようですが、それではあっと言う間に犬はコングと遊び飽きてしまいます。長時間のお留守番を犬にさせたいのであれば、以下のように3段階にコングを詰めるのをおすすめします。まず、一番奥に犬には絶対に取り出せない大きな乾燥レバーの塊(チーズでもよい。どちらにしてもよく匂うものが有効)を詰めます。お箸を使ってぐいっと奥に詰め込んでしまって下さい。次に真ん中あたりに舐めるのに時間のかかるピーナッツバター(無添加のものを選びましょう)をぬります。そして一番手前にすぐにポロッと落ちてくる小さなビスケットを詰めます。こうすれば大抵の犬が最初の数十秒は飼主が玄関から消えることなどには目もくれず、小さなビスケットのかけらを取り出すのに夢中になります。その後30分は真ん中あたりのピーナッツバターを香りが消えてなくなるまで一生懸命舐めます。さらに一番奥に詰まっているレバーの塊を取り出そうと奮闘しますが、どうしても取り出せないのでしばらくすると諦めて眠ってしまいます。
1−2時間後、目を覚ました犬は匂いにつられてコングの奥にまだレバーが詰まっていることを思い出します。そしてしばらくコングと奮闘しますが諦めて再び眠ってしまうということを繰り返します。数時間後、飼主が家に帰ってくると犬はまだレバーが詰まっているコングを喜んで持ってくることでしょう。ここで飼主がこれ見よがしにお箸でも使って中のレバーを取り出し犬に与えてやれば、犬は尊敬の眼差しで飼主を見つめること間違いありません。犬はお利口に留守番できて、しかも飼主は犬から尊敬までされてしまうという一石二鳥のコング利用法。是非お試しください。 Kong
多頭飼いの場合、お利口に躾けられた犬ばかりであれば1匹ずつにコングを与えて静かに出かけられます。しかし、2匹以上の犬が大騒ぎで玄関まであとを追って来るようであれば、しっかり詰め込んだコングを犬の頭数分より多めに用意し、「さあ今まさにドアを開けて出かける」という時に思いっきり家の中の方向に投げつけるという方法があります。この時、くれぐれも壷や絵画を玄関から片付けてから試して下さい。そしてなるべく早く、コングを前にして「待て」の命令を守れる程度に犬を訓練して下さい。

上等の家具にに噛みつく。
リリー、4か月メス、ミニチュアダックスフンドの飼主からの相談
空缶に1セントコイン(もちろん1円玉でも小豆でも良い)を数枚入れて封をしたシェイク缶を作ります。犬が家具に噛みついているのを見つけたら、それを床にガシャーン!と落とします。大抵の犬がそれで震え上がります。何回か繰り返すうちに、家具を噛むと怖い音がすると認識しやめるようになります。この時、くれぐれも犬に当たらないように気をつけて投げて下さい。また、飼主がシェイク缶を投げていることを犬に気づかれないようにするのがコツです。飼主が投げていることが分かってしまうと、飼主がいないところでいたずらをするようになるからです。この方法はゴミ箱をあさる犬やトイレットペーパーを引き出して遊ぶ犬にも応用できます。
犬に気づかれないようにシェイク缶を投げるには、いつも手の届く所にシェイク缶を置いておき、犬がいたずらしそうになったらすぐに投げられるように準備しておく必要があります。そのためシェイク缶は犬がいたずらをしそうな場所の数だけ必要になります。広い家であればシェイク缶を十数個作らなくてはならないということもありえます。

犬が家具に噛みついていることを注意することばかりに心を奪われてばかりいてはいけません。犬はもともと物を噛む習性があるのですから、家具のかわりに噛んでもよいおもちゃを与え、噛みたいという欲求を満たしてやることが大切です。そして噛むべきおもちゃを噛んで遊んでいたら、思いっきり褒めてあげましょう。

無駄吠えで近所にも迷惑。
ゴードン、6か月オス、ゴールデンレトリバーの飼主からの相談
犬の無駄吠えをやめさせるのに一番有効な方法は、「よく知っている命令に従わせて、それを褒める」ことです。ただし、この方法を成功させるには普段から服従訓練をしっかりしておく必要があります。まずは「お座り」など、犬がよく知っている命令に従わせ興奮を冷ますようにしてみましょう。もし、命令に従わず吠え続ける場合は以下の方法が有効な場合があります。

食べ物や散歩を要求して吠えている場合はひたすら無視しつづけます。吠えていてうるさいから、食べ物をやって黙らせるなんてもってのほか。そのようなことを繰り返していたら、吠えるたびにご褒美を与えているようなものです。また、怒ったりしてもいけません。なぜなら吠えることで飼主の注目を引くことに成功したと気づいた犬が、寂しいと吠えるようになってしまうからです。無視を決め込んだら、その場に居あわす人間全員が徹底して無視することが大切です。ひとりでも裏切り者が出て犬をこっそり甘やかすと、犬は無駄吠えをやめません。吠えるのをやめたらすぐ、再度「お座り」などその犬がよく知っている命令に従わせ笑顔でご褒美を与えます。ここで気をつけるのは、長い間無視をしつづけないことです。子犬であれば、10秒の無視でも心理的にこたえます。1分間無視しても犬が吠えるのをやめないのであれば、他の方法で犬を落ち着かせるようにしなくてはなりません。

玄関ベルに反応したり通りを行く人に吠える場合は無視をしてもおさまりません。なぜなら、吠えるという行為自体が犬にとって本能を満たす快楽となりえるからです。これをやめさせるには、お水とお酢(またはレモン汁)を3対1でまぜた液体を霧吹きに用意します。それを犬が吠えた瞬間、シュッとひとふきするだけで静かになります。犬は匂いを嗅ぐことと吠えることを同時にすることができないためです。犬が静かになったら褒めてあげましょう。これを何度も繰り返すうちに無駄吠えをやめるようになります。この液体は、犬がお漏らしをした場所に吹きかけるときれいに臭いをとる効果もあります。

散歩中、綱をひっぱる。
ネリー、3歳メス、ゴールデン&チャウミックスの飼主からの相談
まず、綱はゆるく持つこと。無理に引っ張ると、犬はそれに応えてもっと引っ張ってしまいます。そして、犬が前に出て引っ張ろうとしたとたん、くるっと180度回転して反対方向に歩き出してください。家の近くの公園で8の字に大きくまわって歩くのも効果的です。これをしばらく続けると、犬は諦めて飼い主の行く方向に黙ってついていくようになります。飼主の行きたい方向にしか歩けないことを理解するからです。これを毎日、繰り返すことが重要。1週間程度で訓練をやめてしまっては犬もせっかく覚えたことを忘れてしまいます。また、買い物ついでなどにこの訓練しないこと。行き先が決まっていると、犬が引っ張ろうが何をしようが飼主は目的地まで歩いてしまうので効果がないのです。一度、犬の好きな方向には歩かせないと決めたら、徹底してそれを訓練しなければなりません。あまりに引っ張る力が強い犬の場合はジェントルリーダーを装着してこの訓練をすると飼主の負担が減ることがあります。ジェントルリーダーの製品情報はこちら。
Harry

見てない間に自分のフンを食べてしまう。
チキータ、7歳メス、ジャックラッセルテリアの飼主からの相談
飼い犬の食フン行動の理由は、主に2つ考えられます。1つは、運動不足等によるストレス。もう1つは、既製のドッグフードに含まれる強い香料が排出されたフンに残っているため。まず、ジョギングに一緒に連れ出すなど、犬にも有酸素運動をさせましょう。既製のドッグフードを食べさせているのであれば、ラベルをよく読み、合成着色料や香料の入っていないものを選んで与えましょう。時間に余裕があれば、手作りの食事を与えるのが良いでしょう(参照 :グルメ犬のための手作り食)。既製食から手作り食への移行は、少しずつ行います。初めはドッグフードと手作り食を半分ずつ与えるようにし、きちんと消化できていることが確認できたら、手作り食の量を増やしていきます。手作り食に興味はあるけれど今は時間がないという人は、普段与えているドッグフードにおろし大根と煮干しをトッピングしたりすることから始めると良いでしょう。

首輪を嫌がる。
オリバー、4か月オス、フレンチブルドッグの飼主からの相談
首輪やジェントルリーダーをつけるためのコマンドを1つ決めます。例えば、「カラー!」というように。コマンドとともに首輪を装着したら、すぐにエサのご褒美を与えます。これを1日に何度も繰り返していくうちに、「カラー!」=「ご褒美」という図式が犬の頭に植え込まれ、喜んで首輪をつけるようになります。首輪に限らず犬の嫌がること。例えば、爪切り、お風呂、ブラッシング等もご褒美とセットでしてしまえば、たちまち犬の大好きな日課に変えることができます。ここで大切なのは、初めのうちは絶対にご褒美を忘れないということ。ご褒美は「大抵貰えるけれど、時々忘れられる」というより「我慢すれば絶対に貰える」という記憶を犬に植えつけるほうが効果的なのです。

飼主のベッドの上でおしっこをする。
バディ(仮名)、6か月オス、パピヨンの飼主からの相談
まず寝室の扉は常に閉めておくようにしましょう。犬は一度でも飼主のベッドの上で排泄することに成功してしまうと、それが飼主の気分を害すると分かっていてもやめるのが難しいようです。喫煙が体に悪いと分かっていてもやめられない人間の心境にも似た衝動かもしれません。とにかく犬を寝室から閉め出すこと。そうすれば寝室で排泄することはできなくなります。そして決められた場所で排泄したら思いっきり褒めてあげましょう。こんなことを数か月間繰り返していれば、犬は寝室で排泄することなど忘れてしまいます。

万が一、人間の不注意で寝室の扉を閉め忘れて、犬がベッドの上でおしっこをしてしまっても、決して怒ったり罰を与えたりしてはいけません。非があるのは扉を閉めることができなかった人間の方なのですから。それに罰を与えたところでなぜ自分がなぜ痛い目にあっているのかを犬が理解するとも思えません。人間は犬の行動を管理できる(この場合、寝室の扉を閉じて犬が入れないようできる)立場にあります。犬が間違ったことをする度に悲しんだり怒ったりしているよりは、犬が間違ったことをできないよう管理する方が人間にとっても犬にとっても幸せなはずです。

ベッドの上で排泄してしまう犬にはひとつの共通点があります。それは飼主のベッドに上がることを許されてきたことです。しかしベッドに上がることを許された全ての犬がそこで排泄するわけではありません。飼主が結婚したり子供ができたりと生活に大きな変化があって「急に犬がベッドに上がることを許されなくなった時」にこの問題は起こりやすいようです。犬は未来を想像することも自分の将来を決めることもできません。今ある生活が同じように永遠に続くと信じています。しかし人間は未来をある程度予測することができます。自分の生活に大きな変化があったとしてもいつまでも同じように犬と幸せに暮らせるよう、始めから犬を厳しく躾けるのが人間の責任なのです。

注:このページに登場する犬の年齢(相談を受けた時)と犬種は事実に基づいて記載されています。
犬の名は飼主から掲載の了解を得ている場合のみ本名となっています。

参考文献
Dodman, Nicholas. The Dog Who Loved Too Much. Bantam, 1996
Dunbar, Ian. Behaviour Booklets. James & Kenneth Publishers, 1985
Fogle, Bruce. The Dog's Mind. Howell Book House, 1992

なお、「ひとりでお留守番ができない」の中で紹介したコングの詰め方は、1980年代後半にBBCで放映された Dr. Dunbar's Puppy Class の中でダンバー博士が牛骨の空洞に食べ物を詰めたもので犬を静かに留守番させる方法を紹介していたのをコングに応用したものです。

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