犬に噛まれないようにする方法
子どもが犬と安全に暮らすために覚えておくこと

コンテンツ
はじめに
予習
4つの約束
知っている犬と仲良くする
知らない犬と仲良くなりたかったら
知らない犬がひとりで歩いていたら
知らない犬が襲いかかってきたら
活動に連れていく犬を選ぶ
まずは偽物の犬で練習する
犬が人に噛みつく状況を理解する
参考資料とトレーニング

はじめに
スイスでは「Prevent-a-bite」と呼ばれる「犬と小学校を訪問して犬に噛まれないようにする方法を教えるボランティア活動」が盛んに行われるようになっています。このページの前半ではハリーの主人が参加している活動で、実際に子どもたちに教えている内容を紹介します。子どもが犬に噛まれて怪我をしないようにするための授業ですが「犬を怖いと思っている大人」にも役に立ちます。後半ではこのボランティア活動を行う大人が覚えておかなくてはならない事項について説明します。日本で同じような活動をしたいとお考えの皆さんの参考になれば幸いです。

予習
犬を飼ったことのない子どもは、犬がどんな動物であるか全く知りません。そこで「Prevent-a-bite」の活動で小学校を訪れる日は、あらかじめ担任の先生に犬についての簡単な授業をしてもらいます。犬は家庭で飼われている動物であること。大きかったり小さかったり沢山の種類がいること。犬には色々な用途があって、警察犬や盲導犬など仕事をする犬もいること。4本足で立っていて、手のかわりに口で物を取ったり運ぶこと。言葉はしゃべれないけれど、吠えたりしっぽを振って感情を表すことができることなどを教えます。

4つの約束

犬を怖いと思った時に噛まれないようにするには4つの大切な約束があります。
1. 黙る。
2. 手に持っている物を地面に落とす。
3.「気をつけ!」の姿勢で動かない。
4. 犬から目をそらす。
これらの約束を子どもたちがしっかり守れるようにするのが学校訪問の目的です。

知っている犬と仲良くなる

「犬に噛まれないようにする方法」を教えるにあたって大切なのは、子どもを怖がらせないことです。犬は人間の忠実な友達です。決して怖いばかりの存在ではありません。家族の犬や友達の犬とであれば、仲良くするルールさえ守っていれば噛まれることはありません。そこで、まずは知っている犬と仲良くする方法を教えます。

普段どんなに仲良くしている犬であっても

1. ごはんや骨を食べている時と
2. 自分の小屋やベッドで休んでいる時は

少し離れたところから見ているようにします。

相手が小さいぬいぐるみのような犬の場合、このルールをうっかり忘れてしまうことがあります。犬はおもちゃではありません。小さなかわいい犬にも鋭い牙があります。そしてその牙で顔でもかまれたら、とても痛い思いをすることになります。

では、犬はいつ仲良くしてくれるのでしょうか?それを知るのは簡単です。少し離れた所に立って犬の名前を呼べば良いのです。名前を呼ばれて犬が来たなら、犬も人間と仲良くしたいと思っています。もし、来なければ「今はそっとしていて欲しい」ということです。その時は犬と仲良くするのをあきらめて、少し時間が経ってから再び犬を呼んでみます。犬が自分からすすんで近づいてくるまで根気よく待つのが大切です。

知らない犬と仲良くなりたかったら
知らない犬と仲良くなりたかったら、まずその犬の飼い主に「犬を触ってもいいですか?」たずねます。もし「いいよ」と返事がもらえたら、犬の名前を教えてもらい呼んでみます。そこで犬が反応して自分の方に寄ってくれば、触っても大丈夫です。しかし犬が無視をしているようなら、今は放っておいてほしいのか、他に面白いことに気を取られているかのどちらかなので、その時は触るのをあきらめます。

知らない犬がひとりで歩いていたら

知らない犬がひとりで道を歩いていたら、すぐに近くの大人に知らせます。決して、自分から犬に近づいてはいけません。もし、周りに誰もいなくて、その犬が自分の方に近づいてきたら。
1. 黙って
2. 手に持っている物を地面に落とし
3. 手を下ろして「気をつけ!」の姿勢で
4. 犬とは反対の方向を見つめます。

知らない犬が襲いかかってきたら

このようなことは滅多に起きるものではありませんが万が一、知らない犬が襲いかかってきたら、
両手で首の後ろをしっかり抱えこんで
小包のように地面にうずくまります。

犬が襲ってくるときは、顔や首をめがけてやってきます。犬は獲物の首にかぶりついて猟をするからです。もし、大きな犬に顔や首を噛まれたら、死んでしまうこともあります。しかし、こうして地面にうずくまっていれば怪我をしても、命だけは守ることができます。

以上が「Prevent-a-bite」の授業で子どもたちが実際に学習する内容でした。 ここからは、子どもたちに噛まれないようにする方法を教える大人が知っておくべきことを説明していきます。

活動に連れていく犬を選ぶ
学校に連れていく犬を選ぶポイントは以下の4点です。
1. 健康で定期的な獣医の検診を受けている。
2. 基本的な服従訓練を受けている。
3. 大きい。
4. 子どもに慣れている。

犬は狂犬病予防接種を受けていることはもちろんのこと、半年に一度は獣医の検診を受け健康であることが証明されている犬でなくてはなりません。大きい犬を選ぶ理由は、見た目が大きくて怖い方が「噛まれないようにする方法」を練習するのに臨場感が出るためです。また、服従訓練を受けていて子どもに慣れている犬を選びます。犬を飼ったことがない子どもは、授業中に急に怖くなって奇声をあげたり、犬を乱暴に扱ったりすることがあります。少々の事態には驚かない穏やかな犬が最適です。

まずは「偽物の犬」で練習をする
子どもたちに「犬に噛まれないようにするための4つの約束」を教えても、すぐには犬を使ってのデモンストレーションはしません。まずは偽物の犬を使って練習をします。大抵は、担任の先生が「犬の耳」をつけて犬に扮します。偽物の犬が近づいてきても子どもたちが「黙って、手に持っているものを地面に落とし、気をつけ!の姿勢で犬から目をそらす」ことが完璧にできるようになってから、本物の犬で練習をします。

犬が人に噛みつく状況を理解する

犬の訓練度が比較的高いと言われるスイスでも、犬が人を噛む事件が起こります。多くの場合、被害者は小さな子どもです。子どもは犬の周りを奇声をあげて走り回ったり、急に犬に近寄ってきて頭を触ろうとしたり、おもちゃや食べ物を手に持ったまま目の前から走り去ろうとしたりと、犬には予想しづらい不可解な行動をとることがあります。普段はとてもお利口でよく訓練された家庭犬であっても、そのような子どもの行動に不安や恐怖感を持った時に噛みつくことがあるため、よく知っている(慣れている)犬であっても事件は起こりえます。

また、不安や恐怖を恒常的にかかえた犬が飼い主から放れてしまい、何の前触れもなく見知らぬ子どもに襲いかかってくることもあります。この場合は子どもの行動とは全く関係なく犬が噛みついてくるので予防のしようがありませんが、その時に子どものとる行動によって「怪我の度合いを軽減」したり「命を守る」ことができます。

ボランティアをする人は「どのような状況で犬が噛む可能性があるか」をしっかり念頭においておくと、子どもたちに的確に「犬に噛まれないようにする方法」を教えることができます。

参考資料とトレーニング
スイス連邦動物管理局では「Tapsi, komm...」という小冊子を無料で配布しています。子どもが犬と安全に暮らすための手引きです。監修にはスイスケンネルクラブも携わっています。ここで紹介した「犬に噛まれないようにする方法」はこの冊子の内容に基づいています。学校訪問の終わりには、必ずこの冊子を子どもたちに手渡しています。また、Prevent-a-biteではボランティア育成のための講習会を定期的に行っています。
「Tapsi, komm...」は以下のサイトからPDFファイルとして無料でダウンロードできます。
http://www.bvet.admin.ch/tsp/02222/03070/index.html?lang=de(スイス連邦動物管理局サイト)

(2007/11/24)

おしゃべりなしっぽホーム
Copyright © 2003-2007 Talking Tails. All Rights Reserved.