クリッカー・トレーニング基礎編

クリッカー・トレーニング

Clicker
クリッカーは、犬が学習中の動作をした瞬間を音で伝える道具です。最初、クリッカーの音は何の意味も持ちません。ところがクリッカーをならす度にご褒美を与えていると、犬は「クリッカーの音=成功の瞬間=ご褒美」の意味を理解するようになります。すると、犬はどうしたらクリッカーをならすことができるのかを自分の頭で考えるようになります。例えば、座れを学習中の犬は、偶然座った時にクリッカーの音がして餌をもらえると「お尻を床につけるとクリッカーがなって、餌がもらえるのかな?」と考えます。2回目に座った時、やはりクリッカーがなると「ああ、やっぱりこの動作でなるんだ!」と理解します。この時、良いタイミングでクリッカーをならすことが大切です。2回目で初めて、犬は学習中の動作を確信するからです。

犬はもともと群れで暮らす動物です。その群れでは主従関係がはっきりと分かれていて、下の犬は常にリーダーの指示に従ってついていきます。犬の訓練では、犬が飼い主のことをリーダーと認め、常に目で追っているようにしなければなりません。あなたの犬は、あなたの目を見ていますか?まず、犬とアイコンタクトをとる練習をクリッカーを使ってしてみましょう。

アイコンタクトを教える

  • 目の前に犬を座らせ、名前を呼ぶ。
  • 反応して目を見たら、クリックしてご褒美を与える。
  • 反応しないなら、餌を犬の鼻先につける。
  • それを自分の目の間にゆっくり持っていき名前を呼ぶ。
  • 目を見たら、クリックしてご褒美。
  • 犬は餌を目で追って、自然と目を合わせるようになる。
  • 2−3回繰り返すと犬はアイコンタクトを理解しはじめる。
  • 今度は手に餌を持たず、名前を呼ぶ。
  • 反応して目を見たら、クリックしてご褒美。
  • これを毎日繰り返し行えば飼い主を見つめる犬のできあがり。

座れを教える

  • 餌を犬の鼻先につける。
  • それをゆっくりと犬の頭の上の方に持っていく。
  • 犬は餌を追って反っくり返り自然に座った状態になる。
  • 犬のお尻が床についた瞬間、クリックしてご褒美。
  • 2−3回これを繰り返すと犬は座れを理解する。
  • 今度は「座れ」命令してから、同じ練習を繰り返す。
  • 伏せを教える

  • 餌を犬の鼻先につける。
  • それをゆっくりと犬の足下に持っていく。
  • 犬は餌を追って、首を床まで下げていく。
  • ここでまだクリックはしない!
  • この体勢は辛いため、しばらく待つと犬は自然に伏せる。
  • 犬の胸と両ひじが床についた瞬間、クリックしてご褒美。
  • 2−3回これを繰り返すと犬は伏せを理解する。
  • 今度は「伏せ」と命令してから、同じ練習を繰り返す。
  • 出来るようになったら

    犬の訓練には3つのDがあります。Distance(距離)、 Duration(時間)、 Distraction(障害)の3つです。まずは屋内で犬のすぐ目の前に立って出来るようになったら、少しずつ離れた位置から命令を出すようにします。また、解除するまでの時間も長くしていきます。より離れた所からより長い時間命令に従うことが出来るようになったら、今度はより多くの障害がある屋外で同じことを繰り返します。まずは人通りの少ない場所で短い距離から始め、上手く出来るようになったらより人通りの多い場所で練習します。この時、解除するまでの時間も少しずつ長くしていきます。

    様々な状況でクリッカーを使って犬が座れや伏せを完璧に出来るようになったら、今度は少しずつクリッカーとご褒美の量を減らしていきます。ここで気をつけなくてはならないのは、声で褒めることを今まで以上に心がけることです。服従訓練の最終目標は、クリッカーやご褒美がなくても命令に従わせることです。これは決して難しいことではありません。もともと犬は飼い主に褒められたくてしょうがない動物なので、信頼関係が築かれていれば声で褒めるだけで犬は嬉しいと思うようになります。

    まずはクリッカーの頻度を2回に1度にします。この時、クリックしたらご褒美を与えますが、クリックしないときはご褒美を与えません。半分に減らしても完璧に出来るようになったら、今度は3回に1度に減らします。もし出来なかったら、またクリッカーの頻度を増やします。クリッカーの回数が4回に1度より少なくなったら、次にいつクリッカーがなるかを犬が予想できないように4回に1度にしたり、7回に1度にしたりと工夫してください。そして全くクリッカーを使わなくても良いようになっても、日々の訓練は続けていってください。

    クリッカーで教えられることは無限

    座れや伏せが出来るようになったからといって、クリッカーは使用済みになってしまったわけではありません。一度クリッカーで訓練を受けた犬は生涯クリッカーの音の意味(成功の瞬間=ご褒美)を忘れることはありません。次により難易度の高いことを教えるときにクリッカーで訓練を始め、完璧に出来るようになったら徐々にその頻度を減らしていくという手順を繰り返していけば良いのです。また、犬に一発芸を教えるのにもクリッカーは最適です。最近ではアジリティの訓練でクリッカーを使う人も増えています。例えばドッグウオークのコンタクトゾーンを踏んだらクリックしてご褒美を与えることで、コンタクトゾーンを確実に踏むように訓練できます。皆さんもクリッカーを使って、犬に色々なことを教えてみませんか?クリッカー・トレーニング応用編はこちら


    ウェストポーチがご褒美の餌をいれておくのに便利です。

    参考文献

    • Alexander, Melissa C. Click for Joy!: Questions and Answers from Clicker Trainers and Their Dogs. Sunshine Books, 2003
    • Pryor, Karen. Clicker Magic. Sunshine Books, 1997
    • Pryor, Karen. Don't Shoot the Dog!: The New Art of Teaching and Training. Bantam, 1999
    • Tillman, Peggy. Clicking With Your Dog: Step-By-Step in Pictures. Sunshine Books, 2000

    おしゃべりなしっぽホーム
    Copyright © 2003-2006 Talking Tails. All Rights Reserved.